Polarisの創作部屋

𝒫ℴ𝓁𝒶𝓇𝒾𝓈の創作詩

創作詩

「絵画展」

大阪港駅の改札口。僕は軽く手を上げ、紀子は真っ直ぐこちらへ駆け寄る。 僕は塗装会社に勤めていて、紀子は大学生だった。お互い二十歳で、共通の知人の紹介で飲み会を開き、そこで意気投合し交際を始めた。 その日は日曜日で、前から紀子が行きたがってい…

彼岸

行灯がひとつ またひとつ灯り 雅な色彩を帯びた景色 どこかで見た浮世絵みたい 遠くのほう 手を振り 見送ってくれた人 その顔が浮かんでは消え 輪郭のない球体 言葉にならない 想いに包まれる いつか、どこかも 今、ここも 渾然一体と混ざり合い 融ける 誰に…

あなたの涙と 私の涙 調合し 融和し 化学変化を起こす それは 無色透明で 不思議なインク 筆の先に その インクを浸し 白紙の ノートに 何を書こうか 今頃は 家族がもう 一人 増える予定だった 出産前の検査で 先天的な疾患が見つかり 悩みに悩み 議論に議論…