死に場所
ずっと求めていた
幼稚園のころ
言語を疑いはじめた
いじめられ
記憶を失った
小学生のころ
時間を疑いはじめた
火事でイエが燃えて
意識が戻ってから
夜な夜な不安発作に襲われた
10歳までには
頭の中ではわかっていた
時間は存在しないこと
生も死も
始まりも終わりも
全てがカリソメだってこと
自分の手で自身を殺めたかったわけじゃない
この世界のどこかに
生きていたのか
死んでしまったのか
それすら忘れてしまうような
窪みをさがしていた
頭で理解するのはそれほど難しくはなかった
だけど
カラダでそれを知るのには修行が必要だった
13歳の夏にその扉は開かれ
僕は悟りをひらいた
なるほど、そういうカラクリだったのか
そこで人生を終えたかった
なぜなら
それ以上の喜びは今後二度と訪れはしないことを知っていたから
ときをかさね
そらをかさね
不思議な扉がまた静かに明滅する
僕はどの手を握ればいいんだろう
彼女は確かに僕を呼んでいる
とても暗くて寒い地の果てのどこかから
死に場所を見つけられないまま
変化していく生命体